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第10回雇用の分野における女性活躍推進に関する検討会が開催(4)|カスタマーハラスメント対策の重要ポイント

令和6年7月17日に開催された第10回雇用の分野における女性活躍推進に関する検討会では、職場におけるハラスメント問題についても議論されました。今回のコラムは第4回目として、特にカスタマーハラスメントに焦点を当て、その現状と対応策について詳述します。

1. カスタマーハラスメントの定義

カスタマーハラスメントとは、顧客や取引先から従業員に対して行われる不当な要求や迷惑行為を指します。具体的には、以下の3つの要素を満たすものとされています:

  1. 顧客、取引先、施設利用者その他の利害関係者が行うこと
  2. 社会通念上相当な範囲を超えた言動であること
  3. 労働者の就業環境が害されること

令和2年にパワハラ防止指針に事業主が取り組むことが望ましい事項として明記され、令和3年には「顧客等からの著しい迷惑行為の防止対策の推進に係る関係省庁連携会議」が開催されました。さらに令和4年には「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」が作成され、現在では業界団体や事業者において対応マニュアルの策定が進められています。

2. カスタマーハラスメントの事例

具体的な事例として、以下のようなものが挙げられます:

  • 過剰なクレーム:商品の返品や交換を求める際に、侮辱的な言葉や脅迫を伴う場合。
  • 個人情報の要求:対応に不満を持った顧客が、従業員の個人情報(住所や電話番号など)を不当に要求する場合。
  • 不適切な接触:サービス業などで、顧客が従業員に対して身体的な接触を強要する場合。
  • 執拗な言動:頻繁なクレームや同じ質問を繰り返し、対応のミスを責める。
  • 威圧的な言動:大声で責める、反社会的な者とのつながりをほのめかす等。
  • 身体的攻撃:物でたたく、つばを吐きかける、殴る、蹴る等。

3. カスタマーハラスメントの現状

厚生労働省の調査によれば、2022年度のカスタマーハラスメントに関する相談件数は増加傾向にあり、企業側もその深刻さを認識しています。特にサービス業や小売業では、顧客対応が頻繁に行われるため、従業員がカスタマーハラスメントに遭遇するリスクが高くなっています。また、福祉施設においても利用者やその家族からの迷惑行為が報告されており、介護職員などの精神的な負担が問題となっています。

厚労省令和5年度調査によると、過去3年間にカスタマーハラスメントを受けた労働者は全労働者のうち10.8%であり、パワーハラスメントよりは少ないが、セクシュアルハラスメントよりは多い状況にあります。また、カスタマーハラスメントを受けた経験を接客頻度別にみると、ほとんど顧客等と接することがない者は5.3%であるのに対して、勤務日はほぼ毎日顧客等に接している者は17.4%という状況です。接客頻度が高くなるとカスタマーハラスメントを経験する割合が高くなっています。

さらに、カスタマーハラスメントの行為者は「顧客等(患者またはその家族等を含む)」が82.3%、「取引先等の他社の従業員・役員」が22.6%となっています。行為内容としては、「継続的な(繰り返される)、執拗な(しつこい)言動(頻繁なクレーム、同じ質問を繰り返す等)」が57.3%、「威圧的な言動(大声で責める、反社会的な者とのつながりをほのめかす等)」が50.2%とされています。また、被害労働者の多くが「怒りや不満、不安などを感じた」り、「仕事に対する意欲が減退」するなど、心身への影響が見られます。

4. 対策と今後の方向性

カスタマーハラスメントに対する企業の対策は、従業員の保護を強化し、健全な職場環境を維持するために不可欠です。以下の対策が考えられます:

  • マニュアルの整備:カスタマーハラスメントに対応するための具体的な行動指針やマニュアルを作成し、従業員に周知徹底する。
  • 相談窓口の設置:従業員が安心して相談できる窓口を設置し、迅速かつ適切な対応を行う。
  • 研修の実施:従業員に対して、カスタマーハラスメントに対する対処法やメンタルヘルスケアに関する研修を定期的に実施する。
  • 法的措置の準備:必要に応じて法的措置を講じる準備をし、従業員を守る体制を整える。

事務所としての見解

当事務所では、『ハラスメント防止コンサルタント』有資格者による、ハラスメント防止に向けた企業の取り組みについてもサポートしています。
詳しくは本ホームページ「ハラスメント防止対策」のページをご覧ください。ハラスメントに関する研修プログラムの提供、相談窓口の設置に関するコンサルティングも行っています。これらの取り組みを通じて、企業が健全で安全な職場環境を提供し、従業員のメンタルヘルス向上や生産性向上を図ることが重要です。

企業がカスタマーハラスメント問題に真摯に取り組むことで、従業員のモチベーションが高まり、企業全体の競争力が向上することが期待されます。当事務所は引き続き、企業のカスタマーハラスメント防止の取り組みを支援し、より良い職場環境の実現に向けて貢献してまいります。

 

【参考リンク】第10回雇用の分野における女性活躍推進に関する検討会
【参考資料】雇用の分野における女性活躍推進に関する検討会 報告書(素案)

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