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厚生労働省ホームページに「フリーランス新法に関するパンフレット」が掲載されました

はじめに

2024年7月23日、厚生労働省のホームページにフリーランス新法のパンフレットが掲載されました。本法は、フリーランスとして働く人々と事業者間の取引を公正にし、安心して働ける環境を整備するために制定されました。本記事では、フリーランス新法の背景、概要、具体的な義務と禁止行為について詳しく説明します。

法律制定の背景

近年、働き方の多様化が進み、フリーランスという働き方が一般的になってきました。しかし、フリーランスは取引先との関係で報酬の不払いやハラスメントなど様々な問題に直面しています。これらの問題を解決するために、フリーランス新法が制定されました。この法律は、フリーランスが安心して働ける環境を提供し、取引の適正化と就業環境の整備を目的としています。

フリーランス新法の概要

フリーランス新法は、「特定受託事業者」と「業務委託事業者」の間の取引を対象としています。具体的には、以下の義務と禁止行為が定められています。

取引条件の明示義務(第3条)

取引条件を明確にし、書面または電子的方法で明示する義務があります。これにより、取引の透明性が確保され、トラブルの防止に寄与します。具体的には以下の内容を明示する必要があります。

  • 業務委託事業者および特定受託事業者の名称
  • 業務委託をした日
  • 特定受託事業者の給付の内容
  • 給付を受領または役務の提供を受ける期日および場所
  • 報酬の額および支払期日

期日における報酬支払義務(第4条)

フリーランスに対する報酬を、契約に基づいて適正に支払う義務があります。支払期日は受領日から起算して60日以内のできる限り短い期間内で定める必要があります。この義務はフリーランスの経済的安定を支える重要なポイントです。

発注事業者の禁止行為(第5条)

発注事業者がフリーランスに対して行ってはならない禁止行為が明確に定められています。以下はその主な禁止行為です。

  • 受領拒否:フリーランスに責任がないのに、委託した物品や情報成果物の受取を拒むこと
  • 報酬の減額:業務委託時に定めた報酬の額を後から減らして支払うこと
  • 返品:フリーランスに責任がないのに、受領した物品を引き取らせること
  • 買いたたき:通常支払われる対価に比べ著しく低い報酬の額を定めること
  • 購入・利用強制:指定する物や役務をフリーランスに強制して購入、利用させること
  • 不当な経済上の利益の提供要請:金銭、役務、その他の経済上の利益を提供させること
  • 不当な給付内容の変更・やり直し:フリーランスに責任がないのに、給付内容を変更させたり、やり直させたりすること

就業環境の整備

フリーランス新法は、取引の適正化だけでなく、就業環境の整備にも重点を置いています。具体的には、以下の義務が発注事業者に課されています。

募集情報の的確表示義務(第12条)

発注事業者は、フリーランスを募集する際に虚偽の表示や誤解を生じさせる表示をしてはならず、正確かつ最新の内容に保たなければなりません。これにより、フリーランスが安心して応募できる環境が整えられます。

育児介護等と業務の両立に対する配慮義務(第13条)

発注事業者は、フリーランスが育児や介護などと業務を両立できるよう、必要な配慮を行わなければなりません。特に、6か月以上の期間で行う業務委託については、妊娠、出産、育児または介護と業務を両立できるよう、配慮する義務があります。

ハラスメント対策(第14条)

発注事業者は、フリーランスに対してハラスメントを防止するための体制を整備し、ハラスメントが発生した場合には適切に対応する義務があります。これには、セクシュアルハラスメント、パワーハラスメント、妊娠・出産に関するハラスメントなどが含まれます。

違反行為への対応

フリーランス新法に違反した場合、以下のような対応が取られます。

  • 報告徴収・立入検査:必要に応じて事業者に対して報告を求め、立入検査を行います。
  • 指導・助言:違反が確認された場合、事業者に対して指導や助言が行われます。
  • 中小企業庁の措置請求:違反が改善されない場合、中小企業庁が措置を請求します。
  • 勧告・命令・公表:さらに違反が続く場合、勧告や命令が出され、その内容が公表されます。
  • 罰金・過料:重大な違反については罰金や過料が科されることがあります。

まとめ

フリーランス新法は、フリーランスが安心して働ける環境を整備するための重要な法律です。この法律によって取引の適正化と就業環境の整備が進み、フリーランスと事業者の関係がより良好になることが期待されます。

当事務所では、本法の施行を受けて、フリーランスとの取引がより公正で透明性のあるものとなるよう、労務相談顧問先の企業様に対して適切に新たな情報も提供してまいります。特に、中小企業や介護福祉事業所、障害福祉事業所においては、フリーランスとの取引が増加する中で、本法の遵守がますます重要となります。これからも安心して働ける環境を整えるために、積極的に情報提供とサポートを行っていきます。

 

【参考リンク】厚労省 フリーランスとして業務を行う方・フリーランスの方に業務を委託する事業者の方等へ

【参考資料】パンフレット「ここからはじめるフリーランス・事業者間取引適正化等法」

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