高齢社会対策を盛り込んだ報告書素案が示されました(2)| 生涯を通じて活躍できる環境の整備について

前回のコラムでは、7月17日に内閣府で開催された、第7回高齢社会対策大綱の策定のための検討会での、高齢社会対策を盛り込んだ報告書素案における在職老齢年金制度の見直しの背景と目的について解説しました。

今回は、高齢社会対策報告書素案の第2部「生涯を通じて活躍できる環境の整備」に焦点を当て、具体的な提案内容とその影響について詳しく見ていきます。

1. 就労や地域での社会活動等の多様な活躍の推進

高齢者が生涯を通じて活躍できる環境を整備することは、経済社会の持続可能性と個々人のウェルビーイングの向上に重要です。報告書素案では、以下の具体的な施策が提案されています。

健康寿命及び平均寿命の延伸と体力的な若返り

過去20年間で健康寿命と平均寿命は男女共に約3歳延びており、今後も延び続ける見込みです。特に65~74歳の高齢者は心身の健康が保たれ、活発な社会活動が可能であることが報告されています。

高齢期を見据えたキャリアアップやリスキリングの拡充

高齢期においても、それまでの技術や経験を活かして活躍し続けるためには、早い段階から高齢期を見据えたスキルアップが重要です。企業の研修だけでなく、自発的・能動的に学ぶ機会を増やし、多様なリスキリングの機会を提供することが求められています。

働き方の多様化に応じた年金制度への見直し

高齢期においても働き続ける者の増加が見込まれる中、働き方の多様化に応じた年金制度への見直しが必要です。特に、在職老齢年金制度の見直しが求められています。

介護離職の解消

介護保険外サービスの振興・拡大を進めるとともに、企業が社員が介護サービスを利用しやすい環境を整えることが重要です。介護休業制度の正しい理解を広め、仕事と介護の両立を支援する環境整備が求められています。

地域社会における多様な活躍の機会の創出

若年世代から高齢世代までの幅広い世代が地域社会とつながる機会を充実させるため、地域の仕事や社会活動、学習機会等の情報を一元的に把握できるプラットフォームの構築が必要です。地方公共団体、民間企業、教育関係機関、福祉関係機関、NPO、地域住民など多様な主体が連携して地域の社会課題に取り組むことが求められます。

社会的処方の推進

医療現場から患者を地域の文化資本やコミュニティ資源へつなぐ「社会的処方」の推進が提案されています。かかりつけ医とリンクワーカーの連携強化や、医師の理解促進のための教育を強化し、地域資源の充実とデータベース化を目指します。

2. 今後の取組の方向性

これらの提案が実施されることで、高齢者が自身の能力を最大限に発揮し、経済社会に貢献できる環境が整備されます。以下の方向性が重要です。

希望に応じて働き続けられる環境整備

企業が高齢者の雇用を中長期的に捉え、人事制度を整備することが求められます。年齢ではなく経験やスキルに基づいて職員を配置し、仕事内容や働きぶりに応じた賃金体系等を整えることが必要です。

高齢期を見据えたキャリアアップやリスキリングの拡充

企業の研修に加えて、自発的・能動的に学ぶ機会を増やし、教育訓練プロバイダーや業界団体等が提供する多様なリスキリングの機会を活用する取組を進めるべきです。

働き方の多様化に応じた年金制度への見直し

在職老齢年金制度の見直しや被用者保険の適用拡大を進めることで、働き方の多様化に応じた年金制度を構築します。

介護離職の解消

介護保険外サービスの振興・拡大を進めるとともに、企業が社員が介護サービスを利用しやすい環境を整えることが重要です。介護休業制度の正しい理解を広め、仕事と介護の両立を支援する環境整備が求められています。

地域社会における多様な活躍の機会の創出

地域の仕事や社会活動、学習機会等の情報を一元的に把握できるプラットフォームを構築し、地域社会とつながる機会を充実させることが必要です。地方公共団体、民間企業、教育関係機関、福祉関係機関、NPO、地域住民など多様な主体が連携して地域の社会課題に取り組むことが求められます。

社会的処方の推進

医療現場から患者を地域の文化資本やコミュニティ資源へつなぐ「社会的処方」の推進が提案されています。かかりつけ医とリンクワーカーの連携強化や、医師の理解促進のための教育を強化し、地域資源の充実とデータベース化を目指します。

まとめ

高齢社会対策報告書素案の第2部「生涯を通じて活躍できる環境の整備」は、高齢者が経済社会において多様な役割を果たし続けるための重要な施策です。これにより、高齢者が年齢に関係なく、その知識と経験を活かして活躍できる社会が実現されます。

当社労士事務所では、これらの取り組みに関する最新の情報を提供し、企業の皆様が高齢者雇用の推進に役立てていただけるよう支援しています。高齢者の知識と経験は、企業にとって貴重な資源です。その活用を促進することで、企業の競争力向上にも寄与することと思います。

 

【参考リンク】内閣府 高齢社会対策大綱の策定のための検討会(第7回)
【参考資料】高齢社会対策大綱の策定のための検討会報告書素案

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