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第192回労働政策審議会労働条件分科会が示す最新規制改革|デジタル給与支払い、副業促進、解雇無効時の金銭救済制度の影響と対応策

令和6年7月17日、第192回労働政策審議会労働条件分科会が開催され、規制改革実施計画に掲げられた施策に関する対応状況が示されました。本記事では、その内容と中小企業経営者や経営層、管理者、事務局長の皆様にとっての意義について解説いたします。

規制改革実施計画の概要

規制改革実施計画は、日本経済の持続的成長と労働環境の改善を目指して策定されたもので、労働市場の流動性向上や働き方改革を推進するための施策が含まれています。具体的には、以下の点が強調されています。

デジタル給与支払いの推進

賃金のデジタル支払いに関する制度が整備され、早期に資金移動業者が指定される見込みです。これにより、企業と労働者の間での賃金支払いが迅速かつ効率的に行われることが期待されます。

副業・兼業の円滑化

副業・兼業を行う労働者の健康管理のため、労働時間の通算管理に関するガイドラインが見直されます。特に割増賃金の支払いに関する負担軽減策が検討されています。

解雇無効時の金銭救済制度の検討

労働者が解雇を無効とする判決を得た場合、労働者の請求により使用者が一定の金銭を支払う制度が検討されています。これにより、解雇紛争の迅速な解決と労働者の生活安定が図られることが期待されます。

中小企業経営者への影響

これらの改革は、中小企業経営者や管理層にとって重要な意味を持ちます。以下にその影響をまとめます。

デジタル給与支払いの利便性向上

デジタル給与支払いの普及は、給与支払いプロセスの効率化を促進し、事務作業の削減に繋がります。また、資金移動の透明性が向上し、従業員の信頼を得ることができます。

副業・兼業の推進による人材確保

副業・兼業の促進は、多様な働き方を認める企業文化の形成に寄与し、優秀な人材の確保や従業員のスキルアップに繋がります。これにより、企業全体の競争力が向上します。

労働紛争の迅速解決

解雇無効時の金銭救済制度の導入は、労働紛争の迅速かつ円満な解決を可能にし、長期的な労使関係の悪化を防ぎます。これにより、企業は安定した経営環境を維持することができます。

事務所としての見解

副業・兼業の円滑化については、企業が労働時間の通算管理や健康管理を適切に行うためのサポートが不可欠です。副業・兼業は労働者の自己実現やスキル向上に資する一方で、労働時間の管理が複雑化し、企業側の負担も増加することが懸念されます。こうした課題を解決するためには、企業内部での明確なガイドラインの策定と、労働者との密なコミュニケーションが求められます。

また、解雇無効時の金銭救済制度については、その導入が企業にとってのリスクマネジメントの一環として有益である反面、解雇が乱用される懸念もあります。この制度は、労働者の生活安定を図るための重要な施策ですが、企業側が解雇を安易に選択する動機とならないよう、適切な運用が求められます。

労働市場の変革期において、これらの改革が適切に実施されることで、働きやすい環境が整い、企業の持続的な成長が期待されます。企業がこれらの改革に適応し、労働者との良好な関係を維持しながら成長していくことが重要になります。企業は常に最新の法規制に対応し、適切な労務管理を行うことで、安定した経営を目指すことが求められます。

【参考リンク】第192回労働政策審議会労働条件分科会(資料)

【参考資料】資料No.1 「経済財政運営と改革の基本方針2024」等について(報告事項)

 

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