令和5年度「介護労働実態調査」の結果を受けて(3)|介護ロボットとICT機器の導入:業務改善とその効果
近年、介護現場でのロボットやICT機器の導入が進んでいます。令和5年度の「介護労働実態調査」では、これらの技術がどのように現場で活用されているか、そしてその効果について詳しく報告されています。今回は、介護ロボットとICT機器の導入状況とその効果について、具体的なデータをもとに解説します。
介護ロボットとICT機器の導入状況
調査結果によると、施設系(入所型)の事業所では、パソコンによる介護ソフトの利用が80.7%に達し、タブレット端末やスマートフォンを使った利用者情報の入力機能も50.6%の事業所で日常的に利用されています。また、ベッドセンサー(マット型・内蔵型)が67.4%、無線ナースコール機器が55.8%の事業所で導入されており、ICT機器の活用が進んでいることがわかります。
訪問系や居宅介護支援でも、ケア記録やケアプランの入力・保存機能がそれぞれ65.7%と77.8%の事業所で日常的に利用されています。これらのデータから、介護ロボットやICT機器が広範囲にわたって導入されていることが見て取れます。
導入の効果
介護ロボットやICT機器の導入による効果についても興味深いデータが得られています。施設系(入所型)の事業所では、「昼間の業務負担の軽減」が51.4%、「夜間の業務負担の軽減」が47.6%の事業所で効果があったとされています。また、居住系の事業所でも同様に「昼間の業務負担の軽減」(34.6%)と「夜間の業務負担の軽減」(33.3%)が挙げられています。
これらの結果から、介護ロボットやICT機器の導入が業務負担の軽減に大きく貢献していることがわかります。さらに、労働時間の短縮や介護の質の向上にも寄与していることが確認されており、これらの技術が介護現場での働きやすさを向上させる重要な要素であることが示されています。
まとめ
介護ロボットやICT機器の導入は、介護現場における業務負担の軽減や労働環境の改善に大きく寄与しています。これらの技術の活用により、介護職員の働きやすさが向上し、サービスの質も高まることが期待されています。令和5年度の調査結果を踏まえ、当事務所では、クライアントに対してこれらの技術に関する最新情報を提供し、介護現場の状況を把握するためのサポートを行っています。
また、労働法や介護労働に関する法令遵守のアドバイスや、職場環境の改善に向けたコンサルティングを行い、クライアントが適切な労働環境を維持できるよう支援しています。介護ロボットやICT機器の導入に伴う労務管理の課題についても専門的な知識を提供し、クライアントが抱える問題を解決するためのサポートを続けていきます。
これまで3回にわたり、令和5年度「介護労働実態調査」の結果をもとに、介護労働市場の現状と課題、採用と職場定着の促進要因、そして介護ロボットとICT機器の導入について解説してきました。これらの情報が皆様の事業運営に役立つことを願っています。今後も、最新の情報を提供し、介護現場の改善に貢献してまいります。
【参照リンク】介護労働安定センター 介護労働実態調査