令和7年4月からの育児休業給付金の支給対象期間延長手続改正に関するリーフレット等が公表されています
前回のコラムでもお伝えしましたが、令和7年4月から施行される育児休業給付金の支給対象期間延長手続改正(延長要件の厳格化)に関して、厚生労働省は7月1日に関連ページを開設し、新しいリーフレットや様式を公表しました。これにより、育児休業給付金の支給対象期間延長に関する手続きが大きく変更されます。
この記事では、改正内容や手続きの詳細について解説し、特に中小企業経営者や福祉事業所の経営者にとって重要なポイントをお伝えします。
改正の背景と目的
今回の改正は、育児休業給付金の支給対象期間延長の要件を厳格化し、より早期の職場復帰を促進することを目的としています。具体的には、保育所等の利用を希望していることが公共職業安定所長に認められることが新たな要件として追加されました。この要件の追加により、職場復帰を支援するための環境整備が進むことが期待されています。
手続きの変更点
改正後の手続きでは、以下の書類を必ず添付することが求められます。
- 育児休業給付金支給対象期間延長事由認定申告書
- 市区町村に保育所等の利用申込みを行ったときの申込書の写し
- 市区町村が発行する保育所等の利用ができない旨の通知(入所保留通知書、入所不承諾通知書など)
これらの書類を揃えることで、育児休業給付金の支給対象期間延長の申請が可能となります。
支給対象期間延長の要件
育児休業給付金の支給対象期間延長には、以下の3つの要件をすべて満たす必要があります。
1.あらかじめ市区町村に保育利用の申込んでいること
市区町村に対して事前に保育利用の申込みを行っていること。
2.職場復帰のために保育所の利用を希望しているとハローワークに認められていること
速やかな職場復帰のために保育所等の利用を希望していることを公共職業安定所長に認められること。具体的には以下の条件すべてを満たす必要があります。
①子が1歳に達する日の翌日以前の日を入所希望日として入所申込みをしていること
②申し込んだ保育所等が、自宅から通所に片道30分以上かかる施設のみはNG
③市区町村に対する保育利用の申込みにおいて、入所保留の希望はNG
3.子が1歳になるときまでに保育所等の利用が見込めないこと
子が1歳に達する日の翌日時点で、保育所等の利用ができる見込みがないこと。
リーフレットの内容
厚生労働省が公表したリーフレットは2種類あります。一つは手続きの変更内容を解説するものであり、もう一つは保育所等に入所できない場合の給付金の支給延長に関して2025年4月以降の留意点を解説するものです。これらのリーフレットを通じて、事業主や従業員が手続きの流れや必要書類を正確に把握することができます。
まとめ
今回の改正により、育児休業給付金の支給対象期間延長手続がより明確化かつ厳格化されました。この制度改正(延長手続きの厳格化)は、本来的には、働く親たちが育児休業を有効に活用しつつ、キャリアを中断せずに継続できるよう支援するものであり、企業にとっても人材の流出を防ぐための重要な施策のはずです。
であるとすれば、従業員が安心して育児休業を取得し、復帰後もスムーズに職場に馴染むことができるよう、事業主は新しい手続きに関する理解を深め、必要なサポートを提供することが求められます。
当事務所としても、このような法改正に対応するための情報提供やアドバイスを通じて、労務相談顧問先の事業所様が適切な対応を取れるよう支援してまいります。
これからも、最新の法改正情報をいち早くお届けし、皆様の事業運営をサポートするために尽力いたします。ただ今、45分間の無料オンライン相談も承っておりますので、この機会に是非ともご利用ください。
【参考リンク】 厚生労働省 育児休業給付金の支給対象期間延長手続に関するページ
【参考資料】2025年4月から保育所等に入れなかったことを理由とする育児休業給付金の支給対象期間延長手続きが変わります
【参考資料】保育所等に入所できない場合の育児休業給付金の支給対象期間延長について~2025年4月以降に延長の可能性がある方向けの留意点です~