改正育児介護休業法に関する省令事項(案)・指針事項(案)等が示されました
2023年6月26日、第69回労働政策審議会雇用環境・均等分科会が開催され、改正育児介護休業法に関する省令事項(案)・指針事項(案)等が示されました。
具体的内容は次の通りです。
省令事項(案)
令和7年4月1日施行
- 子の看護休暇制度の見直し(「子の看護等休暇」の取得事由)
- 家族の介護に直面した労働者に対する個別の周知等および雇用環境整備
- 介護に直面した旨の申出をした労働者に対する個別の周知・意向確認
- 事業主が労働者に対して個別周知する事項
- 事業主が労働者に対して行う個別周知・意向確認の方法
- 介護に直面する前の早期の両立支援制度等に関する情報提供
- 事業主が情報提供を行う期間
- 事業主が情報提供を行う事項
- 情報提供の方法
- 介護休業および介護両立支援制度等の申出が円滑に行われるようにするための雇用環境整備
- 介護に直面した旨の申出をした労働者に対する個別の周知・意向確認
公布の日から1年6月以内の政令で定める日に施行(令和7年10月1日案)
- 子が3歳以降小学校就学前までの「柔軟な働き方を実現するための措置」の各措置の具体的な内容
- 始業時刻変更等の措置
- 在宅勤務等の要件
- 育児のための所定労働時間の短縮措置
- 休暇を与えるための措置
- 厚生労働省令で定める措置
- 労使協定で対象から除外することのできる労働者
- 3歳になるまでの適切な時期の面談等
- 個別周知・意向確認の適切な時期
- 個別周知する事項等
- 個別周知・意向確認の方法
- 妊娠・出産の申出時や子が3歳になる前の時期の、仕事と育児の両立に関する個別の意向の聴取と配慮
- 確認する意向
- 意向の確認の方法
指針事項(案)
令和7年4月1日施行
- 3歳になるまでの子を養育する労働者のための所定労働時間の短縮措置
- 家族の介護に直面した労働者に対する個別の周知等および雇用環境整備
- 介護に直面した旨の申出をした労働者に対する個別の周知・意向確認の措置
- 介護に直面する前の早期の両立支援制度等に関する情報提供
- 個別周知や早期の情報提供の際の対応
- 介護休業および介護両立支援制度等の申出が円滑に行われるようにするための雇用環境整備
- プライバシーへの配慮
公布の日から1年6月以内の政令で定める日に施行
- 子が3歳以降小学校就学前までの「柔軟な働き方を実現するための措置」の具体的な内容
- 在宅勤務等の利用日数の基準
- 所定労働時間の短縮措置の内容
- 休暇を与えるための措置に関する配慮
- 育児当事者等からの意見聴取等
- 柔軟な働き方を実現するための措置を利用する労働者への対応
- 事業主が講じる際の対応
- 育児期の両立支援のための定期的な面談
- 心身の健康への配慮
- 妊娠・出産の申出時や子が3歳になる前の仕事と育児の両立に関する個別の意向の聴取と配慮
まとめ
今回の改正育児介護休業法は、中小企業の経営者にとって重要な課題を孕んでいるように思います。
限られたリソースの中でどのように制度を導入し、社員の働きやすい環境を整えるかが求められますし、適切な制度導入により、社員の満足度の向上、優秀な人材の定着、確保につながるからです。
よって、今回の改正育児介護休業法は、重要な変革の機会になるかもしれません。育児や介護を理由に優秀な社員を失わず、柔軟な働き方を導入することで、企業の成長を促進することができるかもしれないからです。また、今回の省令事項と指針事項は、企業が取るべき具体的な対応を示しています。例えば、個別の周知や意向確認を通じて社員との信頼関係を強化し、早期の情報提供により社員が安心して復職できる環境を整備します。これにより、企業は従業員の満足度を高め、継続的に働きやすい職場環境を提供することができます。そして、柔軟な働き方の導入は、従業員のワークライフバランスを向上させ、企業の魅力を高める重要な要素です。このような取り組みを通じて、企業は長期的な視点で人材を確保・育成し、競争力を維持・強化することができるでしょう。
法改正に対応するためには、経営者自らが積極的に関与し、具体的なアクションプランを策定することが不可欠です。
当事務所は、これらの改正に対する具体的なアドバイスやサポートを提供し、皆さまの成長を全面的に支援します。経営者の皆様がこの機会を活用して、さらに働きやすい職場環境を築いていけることを心より期待しています。
【参考】第69回労働政策審議会雇用環境・均等分科会
【参考資料】育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律及び次世代育成支援対策推進法の一部を改正する法律の概要