新しい資本主義実行計画の背景と中小企業への影響(2)
6月7日、第28回新しい資本主義実現会議が開催され、新しい資本主義実行計画の改訂案が取りまとめられました。11の大項目で構成され、労務関連の項目は主に次の2つに含まれています。
Ⅱ 中小・小規模企業等で働く労働者の賃上げ定着
Ⅲ 三位一体の労働市場改革の早期実行
前回のコラムでは、新しい資本主義実行計画の背景と意義、及び中小企業に対する影響について解説しました。今回は、非正規雇用労働者の処遇改善について詳しく解説します。
非正規雇用労働者の処遇改善
非正規雇用労働者の処遇改善は、労働市場の健全化と経済の活性化において重要なテーマです。具体的な施策として、以下の項目が挙げられます。
1. 最低賃金の引上げ
• 昨年の最低賃金引上げに続き、さらに引き上げが予定されています。これは、非正規雇用労働者の生活水準を向上させ、消費活動の活発化を促すための重要な施策です。
2. 同一労働・同一賃金制の施行強化
• 非正規雇用労働者と正規雇用労働者の間の不合理な賃金格差を解消するため、同一労働・同一賃金制の徹底が進められています。これにより、非正規雇用労働者のモチベーションと生産性の向上が期待されます。
3. 非正規雇用労働者の正規化支援強化
• 非正規雇用労働者が正規雇用に転換するための支援策が強化されます。これには、キャリアアップ助成金の拡充や要件緩和が含まれます
4. 年収の壁への対応
• 所得制限により、非正規雇用労働者が一定以上の収入を得ると社会保険料の負担が発生し、働く意欲を減退させる「年収の壁」への対応策が取られます。具体的には、短時間労働者への被用者保険の適用拡大や最低賃金の引上げが進められます。
具体的な内容
1. 最低賃金の引上げ
• 全国加重平均で1,000円を超え、将来的には1,500円を目指しています。これにより、生活水準の向上と消費の増加が期待されます。
2. 同一労働・同一賃金制の施行強化
• 非正規雇用労働者と正規雇用労働者の賃金差を是正し、公平な労働環境を実現するための施策です。企業に対して、賃金差の理由を明確に説明し、不合理な格差を是正することが求められます。
3. 非正規雇用労働者の正規化支援強化
• キャリアアップ助成金の拡充や、有期雇用労働者の要件緩和など、非正規雇用労働者の正規雇用への転換を支援する具体的な措置が取られます。
4. 年収の壁への対応
• 所得制限による働き方の制約を解消するため、短時間労働者への被用者保険の適用拡大や、最低賃金の引上げが行われます。これにより、労働者が安心して働き続けられる環境を整えます。
これらの施策を通じて、非正規雇用労働者の生活の安定と労働意欲の向上が図られます。特に最低賃金の引上げや同一労働・同一賃金制の徹底は、労働市場全体の健全化に寄与します。
次回は、三位一体の労働市場改革の早期実行について解説します。次回も引き続きご期待ください。