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2024年5月24日改正育児・介護休業法が参議院で賛成多数により可決成立

はじめに

2024年5月24日、改正育児・介護休業法が参議院で賛成多数により可決成立しました。
早速、東京労働局のホームページ内に改正法の最新情報をお知らせする特設ページが設けられています。東京労働局【特設ページ】令和6年度改正 育児・介護休業法

東京労働局の特設ページでは、最新情報が定期的に動画形式で公開されています。視覚的に分かりやすく解説されているため、ご興味のある方はご覧いただくと参考になるでしょう。令和6年10月1日現在、以下のような内容が掲載されています

本記事では、この法改正の主要なポイントを解説し、中小企業や介護福祉事業所にどのような影響があるのかを紹介します。

改正の背景

少子高齢化が進む日本では、育児や介護の負担が増加しており、これに対応するための労働環境の整備が求められています。改正育児介護休業法は、労働者が安心して仕事と家庭を両立できるよう、柔軟な働き方の実現や育児休業取得状況の公表義務の拡大などを含んでいます。

主要な改正ポイント

1.子の年齢に応じた柔軟な働き方を実現するための措置の拡充【育児・介護休業法】

1 .3歳以上の小学校就学前の子を養育する労働者に関し、事業主が職場のニーズを把握した上で、柔軟な働き方を実現するための措置を講じ(※)、労働者が選択して利用できるようにすることを義務付ける。

また、当該措置の個別の周知・意向確認を義務付ける。 ※ 始業時刻等の変更、テレワーク、短時間勤務、新たな休暇の付与、その他働きながら子を養育しやすくするための措置のうち事業主が2つを選択


2 .所定外労働の制限 (残業免除) の対象となる労働者の範囲を、小学校就学前の子 (現行は3歳になるまでの子) を養育する労働者に 拡大する。


3 .子の看護休暇を子の行事参加等の場合も取得可能とし、対象となる子の範囲を小学校3年生(現行は小学校就学前)まで拡大するとと もに、勤続6月未満の労働者を労使協定に基づき除外する仕組みを廃止する。


4 .3歳になるまでの子を養育する労働者に関し事業主が講ずる措置(努力義務)の内容に、テレワークを追加する。



5 .妊娠・出産の申出時や子が3歳になる前に、労働者の仕事と育児の両立に関する個別の意向の聴取・配慮を事業主に義務付ける。


2.育児休業の取得状況の公表義務の拡大や次世代育成支援対策の推進・強化 【育児・介護休業法、次世代育成支援対策推進法】

1 .育児休業の取得状況の公表義務の対象を、常時雇用する労働者数が300人超(現行1,000人超)の事業主に拡大する。

2 .次世代育成支援対策推進法に基づく行動計画策定時に、育児休業の取得状況等に係る状況把握・数値目標の設定を事業主に義務付ける。

3 .次世代育成支援対策推進法の有効期限(現行は令和7年3月31日まで)を令和17年3月31日まで、10年間延長する。


3.介護離職防止のための仕事と介護の両立支援制度の強化等【育児・介護休業法】

1 .労働者が家族の介護に直面した旨を申し出た時に、両立支援制度等について個別の周知・意向確認を行うことを事業主に義務付ける。

2 .労働者等への両立支援制度等に関する早期の情報提供や、雇用環境の整備(労働者への研修等)を事業主に義務付ける。

3 .介護休暇について、勤続6月未満の労働者を労使協定に基づき除外する仕組みを廃止する。

4 家族を介護する労働者に関し事業主が講ずる措置(努力義務)の内容に、テレワークを追加する。 等

改正の意義と今後の対応

改正の本質的意義

改正育児介護休業法の改正は、日本社会が直面する少子高齢化や労働力不足といった課題に対する、国を挙げての重要な一歩になるかもしれません。特に医療事業所、中小企業、福祉事業所にとって、この改正は大きな転換点となるでしょう。

本改正の真の意義は、「仕事」と「人生」の新たな調和にあると私は思います。
現在は、昭和・平成初期の「仕事か、家庭か」という二者択一の考え方から脱却し、両者を高い次元で両立させる社会の実現を目指す過渡期ではないでしょうか。
これは、単に従業員の満足度を上げるだけでなく、企業の持続可能性と革新性を高める鍵となります。

企業にとってのメリット

この改正へは、デメリットだけに目を向けてはいけません。この改正への対応は、単に法令遵守にとどまらず、企業にとって多くのメリットをもたらすかもしれません。

従業員の満足度向上、優秀な人材の確保と定着、さらには企業の生産性や競争力の向上につながると思います。多様な経験を持つ従業員が増えることで、新たな視点や創造性が生まれ、イノベーションの源泉となる可能性も高まります。

具体的な対応策の例

1.柔軟な勤務体系の再構築:
テレワークやフレックスタイム制度を、単なる「制度」ではなく「文化」として根付かせること
2.休業取得の透明化とポジティブな評価:
休業取得を「当たり前」にするだけでなく、それを通じて得られる多様な経験を企業の財産として積極的に評価する仕組みづくり
3.意識改革を超えた「マインドセットの転換」
管理職を含む全従業員が、多様なライフステージにある社員の価値を再認識し、それを組織の強みに変える発想の転換

まとめ

改正法の戦略的活用

改正育児介護休業法は、中小企業、医療・介護・福祉事業所が未来の労働市場で競争力を維持し、社会的責任を果たすための重要な機会です。
本改正を単なる「対応すべき課題」ではなく、企業の成長と発展のための「戦略的投資」として捉え直すことが重要だと私は考えます。

期待される効果

従業員一人ひとりのライフステージに寄り添った柔軟な働き方を実現することで、予想を超える効果が期待できるに違いありません。
育児や介護の経験を通じて培われた従業員の多様な視点は、顧客ニーズの深い理解や新たなサービス開発につながる可能性を秘めています。また、企業の社会的評価を高め、特に次世代を担う若手人材の獲得・定着に大きく寄与するでしょう。

当事務所のサポート

これらの変革を実現するには、経営者の強いリーダーシップと、全社一丸となった取り組みが不可欠です。
当事務所は、皆様のこの挑戦を全面的にサポートいたします。

法令遵守のアドバイスにとどまらず、貴社の企業文化や経営戦略に合わせた、オーダーメイドの支援プランをご提案いたします。
皆様のビジネスの更なる飛躍に向けて、具体的な対応策や、貴社の状況に応じたカスタマイズされたアドバイスについて、ご興味のある事業所様は、どうぞお気軽にご相談ください。

参考リンク: 東京労働局【特設ページ】令和6年度改正 育児・介護休業法

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