特定技能外国人が訪問系介護に従事可能に|制度改正と実務対応のポイント

あなたの施設でも、こんなお悩みありませんか?

  • 訪問介護の担い手が年々減ってきている
  • 外国人材の採用は考えているが、制度や手続きが不安
  • 文化や言語の違いによる現場トラブルが心配

以前のコラムでも3回のシリーズとして紹介しましたが、今回も、そんな現場の悩みをお持ちの経営者・施設長・人事ご担当の皆さまに向けて、2025年4月21日に改正された「特定技能外国人の訪問系サービスへの従事」に関する制度概要と、実務対応のポイントを丁寧に解説していきます。

制度改正の背景とねらい

訪問介護の人材不足が限界に達している

在宅介護サービスの需要が高まる中、訪問介護職員の確保は多くの事業所にとって大きな課題です。高齢化が進む一方で、日本人職員の確保には限界があり、地域によってはサービス提供そのものが困難になるケースも見られています。

こうした状況を受け、厚生労働省はこれまで認められていなかった訪問系サービスへの外国人材の従事を、段階的に認める方針を打ち出しました。2024年4月には「技能実習」の在留資格を持つ外国人について、そして2025年4月からは「特定技能」の外国人についても、訪問介護への従事が認められることになりました。

何が変わったのか?改正のポイント

今回の制度改正は、厚生労働省告示第147号、各種通達、そして「介護分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針」に基づいており、具体的には以下の点が大きな変化です。

  • 特定技能外国人による訪問系サービスへの従事が可能に

  • 受け入れ法人は「介護分野における特定技能協議会」の構成員となる必要あり

  • 適合確認申請と、マニュアルや計画書等の整備が義務化

このように、制度的には「可能になった」ものの、現場での運用には多くの準備が求められることになります。

実務対応は何から始めるべきか

訪問介護に外国人材を従事させるには、まず「介護分野における特定技能協議会」への入会と適合確認申請が必要です。これは、外国人材を安易に採用するのではなく、適切な環境整備をしたうえで導入することを国が求めているためです。

申請にあたっては、訪問業務に係る内容をまとめた報告書、特定技能外国人本人のキャリアアップ計画(署名入り)、ハラスメント防止マニュアルやトラブル時の対応マニュアル、緊急時の連絡体制などの整備が求められます。

これらは単なる提出書類ではなく、現場の体制づくりそのものでもあります。しっかりとした整備がなければ、採用後に定着せず、かえって混乱を招くことにもなりかねません。

ハラスメント・文化摩擦のリスクをどう防ぐか

外国人介護職員が訪問先で孤立しないためには、受け入れ側の事前準備がすべてです。日本人利用者と外国人職員の間で起こりうる文化的誤解や価値観の違いを放置すれば、職員の離職リスクは高まり、利用者満足度も低下します。

厚労省も、ハラスメント防止体制の整備を義務化しており、マニュアル整備と職場内での共有、さらにはOJTの体制も整えておく必要があります。これらは単なる形式ではなく、「実効性ある対策」として文書化し、運用されていることが求められます。

緊急対応体制と利用者の安心感

利用者やその家族にとって、外国人職員による訪問介護はまだ「新しい取り組み」です。不安を払拭するには、事前の説明と、万が一のときの体制づくりが欠かせません。

たとえば、事故や急変時の対応フローを文書化し、利用者にも共有すること。また、初期の段階ではサービス提供責任者や日本人スタッフが同行するなどのOJT体制を取り入れることも、安心につながります。

当事務所によるサポートのご紹介

当事務所では、

  • ハラスメント防止マニュアルの作成と共有体制の整備支援

  • 外国人材受け入れにあたっての労務管理上の相談対応

など、法的・実務的な観点から、訪問系サービスを含む外国人介護人材の受け入れを支援しております。特に、ハラスメント防止については、当事務所にはハラスメント防止コンサルタントの有資格者が在籍しており、より実践的で現場に即したアドバイスをご提供できます。

「問題を先送りにするリスク」を回避するために

今回の制度改正は、単なる行政手続きではありません。文化・人材・安全という観点から、受け入れ法人の姿勢が問われる制度です。

導入が遅れれば、他事業所に人材確保で後れを取るだけでなく、サービスの質や安全性にも影響が出かねません。

「制度が変わったから対応する」のではなく、「制度が変わった今こそ、チャンスと捉える」。そんな考えで動き出す法人が、これからの地域介護の中核を担っていくのではないでしょうか。

まずはお気軽にご相談ください

「制度は知っているけど、何から始めたらいいか分からない」 「手続きが煩雑で、日々の業務に手が回らない」 「外国人材の定着支援まで、しっかり対応したい」

そのようなお悩みをお持ちの方は、ぜひ当事務所へご相談ください。

気になることがあればお気軽にご相談ください

全国対応!リモートも可能です

電話受付:03-5936-4681(平日9:00~18:00)

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【参考サイト】厚生労働省 外国人介護人材の訪問系サービスへの従事について
【参考サイト】公益社団国際厚生事業団 特定技能外国人の訪問系サービスへの従事について
【参考資料】令和7年4月21日厚生労働省告示第147号

 

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