令和7年4月 厚生労働省関係の主な制度変更について

令和7年4月に予定されている厚生労働省関係の制度変更は、雇用・労働・年金と多岐にわたり、事業運営に影響を及ぼす内容が多く含まれています。特に、育児・介護・高齢者雇用といった現代社会が抱える課題に対応する形での制度改正が中心であり、事業主には制度への理解と迅速な対応が求められます。

本コラムでは、変更点を読み解きながら、事業者が今後の実務対応において留意すべきポイントを整理していきます。

※人事・労務に関する制度改正は、知らなかったでは済まされません。令和7年4月の改正内容を正確に理解し、自社に合った対応を考えたい方は、ぜひ当事務所へご相談ください。

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雇用・労働関係の変更点

出生後休業支援給付の創設

  • 内容:

    育児休業の取得促進を目的として、新たに「出生後休業支援給付金」が創設されます。これは、子の出生後一定期間内に、両親がそれぞれ14日以上の育児休業を取得した場合に、育児休業給付と併せて休業前の手取り収入の100%相当額を支給するという仕組みです。

    育児休業取得率が伸び悩む背景には、休業による収入減少への不安が根強くあります。今回の制度は、その不安を軽減し、両親による育児参加のバランスを促すことが期待されます。

  • 主な対象者:雇用保険被保険者

育児時短就業給付の創設

  • 内容:子が2歳未満の期間に時短勤務を選択した場合、賃金の10%が支給される「育児時短就業給付金」も導入されます。短時間勤務は、仕事と育児の両立を支える重要な手段ですが、実際には「収入が減るから利用できない」といった声も多く聞かれました。この給付制度は、そうした現場の課題に応えるものといえるでしょう。

  • 主な対象者:雇用保険被保険者

自己都合離職者の給付制限期間の見直し

  • 内容:自己都合離職者の失業給付の給付制限期間が、現行の2カ月から1カ月に短縮されます。雇用の流動化や働き方の多様化が進む中、「自己都合=一方的な都合」とする見方は見直されつつあります。今回の措置は、そうした社会情勢の変化を反映したものといえます。

  • 主な対象者:雇用保険の基本手当の受給資格者

高年齢雇用継続給付の給付率引下げ

  • 内容:60歳以降も就労を継続する労働者に対して支給されている高年齢雇用継続給付の給付率が、現行の15%から10%に引き下げられます。少子高齢化が進む中で、長く働く人を支える制度の見直しは避けられません。事業主にとっては、60歳以降の処遇設計を見直すタイミングともいえます。

  • 主な対象者:雇用保険被保険者

雇用保険料率の改定

  • 内容:失業等給付にかかる保険料率が0.1%引き下げられ、雇用保険料率全体では14.5/1,000(労働者負担:5.5/1,000、事業主負担:9/1,000)となります。小規模な変更ではありますが、給与計算実務に反映させる必要があります。

  • 主な対象者:事業主および雇用保険被保険者

子の年齢に応じた柔軟な働き方の実現

  • 内容:

    • 看護休暇の対象となる子の年齢が小学校3年生まで拡大。

    • 感染症等による学級閉鎖も休暇取得の理由として認められるように。

    • 所定外労働(残業)制限の対象を小学校就学前まで拡大。

  • 主な対象者:すべての事業主と労働者

育児休業の取得状況の公表義務の拡大

  • 内容:常時雇用労働者数300人超の事業主に対し、育児休業の取得状況を公表する義務が課される。

  • 主な対象者:常時雇用労働者数300人超の事業主

介護離職防止のための両立支援強化

  • 内容:

    • 介護に直面した旨の申出を受けた場合、事業主は制度説明と利用意向の確認を個別に行うことが義務化。

    • 40歳前後の労働者への制度周知、研修の実施等の雇用環境整備も義務化。

  • 主な対象者:すべての事業主と労働者

次世代育成支援行動計画に関する見直し

  • 内容:次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画の策定時に、育児休業取得率や労働時間に関する現状把握および数値目標の設定が義務化されます。単なる形式的な計画から、実効性ある目標管理への転換が求められます。

  • 主な対象者:一般事業主行動計画の策定義務のある事業主

年金関係の変更点

国民年金保険料の改定

  • 内容:令和7年度の保険料は月額17,510円に改定。

  • 主な対象者:国民年金の被保険者

年金額の改定

  • 内容:老齢基礎年金の満額は、

    • 昭和31年4月1日以前生まれ:月額69,108円

    • 昭和31年4月2日以降生まれ:月額69,308円 ※令和6年度比で1.9%引き上げ

  • 主な対象者:年金受給者

年金生活者支援給付金の改定

  • 内容:令和7年度の給付基準額は月額5,450円(2.7%引上げ)。

  • 主な対象者:年金生活者支援給付金受給者

当事務所としての見解

令和7年4月に予定されている一連の制度変更は、単なる制度いじりではなく、社会の構造変化に真っ向から対応した内容だと捉えています。

育児や介護といったライフイベントに伴う働き方の変化を、個人の責任に押しつける時代は終わりつつあります。企業としても、従業員が安心して人生の選択をできる環境づくりこそが、今後の人材確保や定着のカギとなります。

当事務所では制度改正に際し、どのように社内制度を整え、従業員に伝えていくか。あるいは、どのタイミングで研修を実施するか。そうした実務対応について、現場に即したサポートを提供できます。法改正の波に受け身で対応するのではなく、その波を自らの組織運営に活かす。今回の制度変更が、そうした前向きな取り組みを後押しする一助となるよう、当事務所としても丁寧な支援を行ってまいります。

令和7年4月の制度変更に備えた実務対応、社内研修、規程改定などについてのご相談は、下記お問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。当事務所が伴走型で支援いたします。

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【参考サイト】厚生労働省 厚生労働省関係の主な制度変更(令和7年4月)について
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