【25.2.27 福祉新聞】都内特養77%に外国人材 東社協調査、施設経営に必須
2025年2月27日福祉新聞によると東京都社会福祉協議会高齢者福祉施設協議会(東社協)が実施した調査によると、東京都内の特別養護老人ホーム(特養)の76.7%が外国人介護人材を雇用していることが明らかになりました。調査は2024年8~9月にかけて会員600施設を対象に行われ、373施設(回答率62.2%)が回答しています。
この結果から、都内の特養では外国人介護人材の活用が施設運営の鍵となりつつあることが浮き彫りになりました。
外国人介護人材の雇用状況:特養の現実
外国人介護人材の受け入れ状況
調査結果によると、外国人介護人材を雇用している施設の割合は以下のとおりです。
- 特別養護老人ホーム:76.7%(243施設)
- 養護老人ホーム:16.0%(4施設)
- 軽費老人ホーム:6.5%(2施設)
- 全体の平均:66.8%(249施設)
つまり、特養では約8割が外国人介護人材を雇用している一方、養護老人ホームや軽費老人ホームでは雇用が進んでいないことがわかります。これは、EPA(経済連携協定)や技能実習、特定技能制度の対象が限られていることや、施設種別ごとの業務内容の違いが影響していると考えられます。
雇用形態
外国人介護人材の在留資格は以下のようになっています。
在留資格 | 割合(雇用施設249) |
---|---|
特定技能 | 57.8% |
在留資格「介護」 | 51.8% |
永住・定住資格者 | 44.2% |
留学生 | 25.3% |
技能実習 | 18.9% |
EPA(経済連携協定) | 13.7% |
特に「特定技能」や「在留資格『介護』」の人材が多く、即戦力として期待されていることがわかります。
外国人材を雇用するメリット
調査によると、施設が外国人介護人材を受け入れるメリットとして挙げたのは以下の点です。
- 介護人材の確保(96.2%)
- 日本人スタッフのスキル向上(32.2%)
- 多文化共生への理解促進(31.1%)
- 職場環境の改善・ケアの質向上(24.9%)
人材不足が深刻な特養にとって、外国人材の雇用は避けられないものになっていることがよくわかります。
外国人材の雇用における課題
一方で、外国人介護人材を受け入れるにあたり、以下のような課題も指摘されています。
- 日本語能力の向上(81.0%)
- 技術・知識・接遇対応の育成(58.4%)
- 雇用コストの負担(44.0%)
特に、日本語能力の向上と、介護技術・接遇スキルの習得に時間がかかることが、施設運営上の大きな課題となっています。
当事務所の見解:外国人介護人材は施設経営の「要」
今回の調査結果は、外国人介護人材の雇用が特養の経営において不可欠であることを示しています。人手不足が深刻化する中、外国人材なしでは施設運営が難しくなるのは明白です。
外国人介護人材の定着には「環境整備」が必要
外国人介護人材の活用を成功させるには、長期的に働ける環境を整えることが重要です。ただ採用するだけではなく、以下のような施策が求められます。
- 日本語教育の充実
- 資格取得支援
- 文化的な違いを理解する研修の実施
これらの取り組みを強化することで、外国人材が戦力として定着し、施設の安定経営につながると考えられます。
テクノロジー活用で業務負担を軽減
外国人介護人材の活用と並行して、業務効率化のためのテクノロジー導入も不可欠です。
- 移乗支援ロボットの導入
- 音声翻訳アプリの活用
- 電子記録システムの導入
こうした技術の活用により、職員の負担を軽減し、外国人介護人材との連携もスムーズになります。
まとめ|外国人介護人材の受け入れが施設の未来を左右する
今回の調査結果からもわかるように、東京都内の特養では、外国人介護人材の活用が施設経営の重要な要素となっています。今後、さらに人材不足が深刻化することを考えると、外国人材をどう活用し、どう定着させるかが、施設経営の成否を分けるポイントとなるでしょう。
「ただ採用する」のではなく、「長く働いてもらえる環境を整えること」が成功のカギです。
当事務所では、外国人介護人材の雇用に関する労務管理やのサポートを提供しています。
介護業界の未来を見据えた雇用戦略について、今こそ本格的に考えるべき時ではないでしょうか。
【参考サイト】福祉新聞「都内特養77%に外国人材 東社協調査、施設経営に必須」
【参考サイト】東社協 東京都高齢者福祉施設協議会「外国人介護職員・支援員の雇用状況等についての実態調査結果」