派遣先企業にもハラスメント防止義務が課される!労働者派遣法改正のポイントと企業が取るべき対応

2月20日、第379回労働政策審議会職業安定分科会労働力需給制度部会が開催され、「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律等の一部を改正する法律案」 および 「労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律案」(労働者派遣法の一部改正関係) に関する報告が行われました。

この改正では、これまで派遣元(派遣会社)のみが負っていたカスタマーハラスメントや就活等セクシュアルハラスメントに関する雇用管理上の措置義務に関して、派遣先企業にも適用すること、高年齢労働者に対する労働災害防止に関して、派遣先も適用する特例を設けるが決まりました。

この法改正により、企業の 労務管理のあり方が大きく変わる ため、「まだ対策をしていない…」という企業は今後対応が必要 になります。

派遣先企業にも適用される新たな義務とは?

カスタマーハラスメント・就活等セクハラへの対応強化

これまで、派遣労働者が顧客からのカスタマーハラスメントや就活等のセクシュアルハラスメントを受けた場合、 基本的には派遣元(派遣会社)が対応することが多かったようです。

しかし、今回の改正により、派遣先企業も自社の従業員と同じように、派遣社員を守る義務を負う ことになります。

企業が取るべき対応

  • ハラスメント防止策を強化(職場環境の改善、研修実施など)
  • 被害を受けた派遣社員の相談窓口を設置
  • 派遣元との連携強化(ハラスメントが発生した際の報告・対応フローの確立)

当然ながら、「派遣社員だから…」では通用しない時代になっています。適切な対応を怠れば、企業の評判にも大きな影響を及ぼす可能性があります。

派遣社員の労働災害防止の責任が「派遣先」にも!

また、労働安全衛生法の改正により、派遣先企業が労働災害防止の措置義務を負う ことになります。
特に、以下の点が重要です。

  1. 高年齢労働者の労働災害防止策(安全管理、負担軽減策の導入)
  2. 混在作業時の安全確保(自社社員と派遣社員が一緒に作業する環境でのルール整備)
  3. 化学物質による健康障害防止対策(作業環境の管理、保護具の支給など)

企業が今すぐやるべきこと

  • 派遣社員を含めた労働安全研修の実施
  • 危険作業時のマニュアル整備・見直し
  • 派遣社員の業務環境のチェック・改善

企業によっては「派遣社員は派遣元の責任」と思っていたかもしれませんが、 今後は 「派遣先企業も同等の安全配慮義務を負う」 ため、対策が必須となります。

もし対応を怠ったら…企業が直面するリスク

新たな義務に対応せず、ハラスメント対策や労働災害防止策を怠った場合、 企業は以下のようなリスクを抱えることになります。

ハラスメント発生 → 企業名公表

カスタマーハラスメントや就活等セクシュアルハラスメントの防止措置を怠った場合、 企業名が公表される可能性があります。 これは「企業イメージ」に直結し、取引先や求職者からの信用を失うリスク があります。

法改正への対応遅れ → 取引に影響

最近は、大手企業ほど コンプライアンス重視 の傾向が強まっています。 派遣社員の適切な労務管理ができていない企業は、取引先から「リスクが高い企業」と判断される 可能性もあります。

企業が今すぐすべき対応チェックリスト

☑ 派遣社員のハラスメント対策の見直し(社内ルール・相談窓口の整備)

☑ 安全管理の徹底(派遣社員の業務リスクをチェック)

☑ 派遣元との連携強化(ハラスメント・労災発生時のフロー確立)

☑ 社内研修の実施(派遣社員も対象に含める)

まとめ:企業の対応が問われる時代に

✅ 2025年の労働者派遣法改正により、派遣先企業にも新たな責任が発生する
✅ 派遣社員に対する「ハラスメント対策」と「労働災害防止措置」が強化される
✅ 対策を怠ると企業名公表・労災補償負担などのリスクが増大
✅ 早急な対応を進めることで、企業の信頼性向上・リスク回避につながる

「自社はちゃんと対応できているか?」と不安に感じたら、専門家に相談を

当事務所では、 ✅ ハラスメント防止規程の作成 ✅ 派遣社員の労働安全対策の見直し ✅ 派遣元・派遣先の適切な契約内容の整理 など、企業が法改正に対応するためのサポート を行っています。 企業の信頼を守るために、今すぐ対策を始めましょう。

【参考サイト】厚生労働省 第174回労働政策審議会安全衛生分科会(資料)

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