「厚生年金保険 養育期間標準報酬月額特例申出書・終了届」の新しい届書が公表されています
2024年1月6日、日本年金機構より「厚生年金保険 養育期間標準報酬月額特例申出書・終了届」(以下、「養育期間特例申出書」)の新しい届書および記入例が公表されました。この改正は、令和7年1月1日より施行される厚生年金保険法施行規則の改正に伴うもので、事業主や被保険者の手続き負担軽減を目的としたものです。
厚生年金保険 養育期間標準報酬月額特例申出書・終了届(記入例)
今回の改正内容を中心に、新しい様式の概要や事業主が押さえるべきポイントについて詳しく解説します。
改正の背景と趣旨
これまで養育期間特例申出書には、申出者(被保険者)と養育する子の身分関係を証明するために、戸籍抄本などの添付が求められていました。しかし、この手続きが多くの事業主や被保険者にとって負担となっていたことを受け、日本年金機構が戸籍関係情報の情報照会を活用し、必要な確認を可能にする制度が導入されました。
さらに、令和7年1月1日以降は、申出者が所属する事業所の事業主が続柄を確認した場合にも、戸籍抄本の添付が不要となります。この改正により、手続きの簡略化が図られ、特に外国籍の被保険者にとっても利便性が向上することが期待されています。
新様式のポイント
1. 「事業主続柄確認」欄の新設
新様式には「事業主続柄確認」欄が設けられ、事業主が戸籍謄(抄)本等を確認した上で、申出者と養育する子の続柄を確認した場合には、「確認済み」にチェックを入れる形式となりました。これにより、事業主が身分関係を確認した申出書については、日本年金機構で改めて確認する手間が省略されます。
2. 従前の様式も当面使用可能
改正後の様式が導入される一方で、従前の様式も当分の間使用できます。ただし、従前の様式を使用する場合、事業主が続柄を確認済みであることを備考欄に明記する必要があります。この配慮により、事業主や被保険者の混乱を最小限に抑えています。
3. 外国籍被保険者への対応
戸籍情報の確認が難しい外国籍の被保険者についても、事業主が続柄を確認した場合には添付書類が不要となるため、さらなる負担軽減が見込まれます。
当事務所の見解
今回の改正は、養育期間特例申出書の手続きを簡略化し、事業主や被保険者の負担を軽減する点で非常に有意義です。特に、「事業主続柄確認」欄の新設は、現場での手続きの効率化を実現するとともに、日本年金機構の審査負担の軽減にも寄与するものと考えられます。
一方で、事業主が続柄を確認する責任が増す点には注意が必要です。適切な確認を怠れば、後々トラブルに発展する可能性も否定できません。当事務所では、このような手続き変更への対応に関するご相談も承っております。正確な情報に基づく適切な対応をお考えの方は、ぜひ当事務所までお問い合わせください。
これからも当事務所は、法改正に伴う手続き対応をサポートし、顧問先の事業運営を円滑にするための支援を続けてまいります。今回の記事が少しでも皆様の参考になれば幸いです。
【参考資料】厚生年金保険 養育期間標準報酬月額特例申出書・終了届(記入例)
【参考リンク】日本年金機構 養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置を受けようとするとき
【参考資料】厚生年金保険法施行規則等の一部を改正する省令の施行に伴う養育期間標準報酬月額特例申出書の取扱いについて(令和6年 12月23日年管管発1223第3号)