【介護保険最新情報Vol.1330】介護サービス事業者経営情報の報告等に関する システムに係る運用マニュアル等の発出について (事務連絡)
令和6年11月28日 「介護保険最新情報Vol.1330」として、厚生労働省老健局認知症施策・地域介護推進課より「介護サービス事業者経営情報の報告等に関するシステムに係る運用マニュアル等の発出について」通知文書が発出されました。
厚生労働省では、介護サービス事業者の毎年度の経営状況を把握し、事業者を取りまく様々な課題に対する的確な支援策を検討するため、新たに、「介護サービス事業者の経営情報のデータベース」を整備し、令和7(2025)年1月から運用を開始します。原則すべての介護事業者は、都道府県へ財務状況を報告することが、2025年1月から義務付けられます。
以下は東京都福祉局のホームページになりますが、概要をご紹介いたします。
(1)報告の対象となる介護サービス事業者
以下に掲げるサービスを提供する事業所又は施設について、東京都へ報告が必要です。
居宅サービス
訪問介護、訪問入浴介護、介護予防訪問入浴介護、
訪問看護、介護予防訪問看護、
訪問リハビリテーション、介護予防訪問リハビリテーション、
通所介護、通所リハビリテーション、介護予防通所リハビリテーション、
短期入所生活介護、介護予防短期入所生活介護、
短期入所療養介護(則第 14 条第4号に掲げる診療所に係るものを除く。)、
介護予防短期入所療養介護(則第 22 条の 14 第4号に掲げる診療所に係るものを除く。)、
福祉用具貸与、介護予防福祉用具貸与、特定福祉用具販売、特定介護予防福祉用具販売
施設サービス
特定施設入居者生活介護(養護老人ホームに係るものを除く。)、
介護予防特定施設入居者生活介護(養護老人ホームに係るものを除く。)、
介護福祉施設サービス、介護保健施設サービス、介護医療院サービス
地域密着型サービス
定期巡回・随時対応型訪問介護看護、夜間対応型訪問介護、
地域密着型通所介護、認知症対応型通所介護、介護予防認知症対応型通所介護、
小規模多機能型居宅介護、介護予防小規模多機能型居宅介護、
認知症対応型共同生活介護、介護予防認知症対応型共同生活介護、
地域密着型特定施設入居者生活介護(養護老人ホームに係るものを除く。) 、
地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護、
複合型サービス(看護小規模多機能型居宅介護)
その他
居宅介護支援
(2)報告する単位
介護サービス事業者の経営情報の報告は、原則、介護サービス事業所・施設単位で行うものとしますが、事業所・施設ごとの会計区分を行っていない場合などのやむを得ない場合については、法人単位で報告することができます。
(3)報告する内容
報告対象の経営情報の種類と内容
今回の制度では介護事業に関する事項を報告する事となっていますが、
医療や障がい福祉サービス関連の事業も行っている場合は、それらの収益や費用の記載が介護サービスと区分されていなければ、医療や障がい福祉サービスの事業分を除外せずに報告できます。
介護事業者が報告する内容は、大きく分けて4項目あります。
1.事業所・施設の名称、所在地とその他の基本情報
(1)事業所又は施設の名称
(2)法人等の名称
(3)法人番号
(4)介護事業所番号
(5)介護事業所で提供しているサービスの種類
(6)法人等の会計年度末
(7)法人等の採用している会計基準
(8)消費税の経理方式
2.事業所・施設の収益及び費用の内容 (=任意の項目)
(1)介護事業収益
①うち施設介護料収益
②うち居宅介護料収益
③うち居宅介護支援介護料収益
④うち保険外収益
(2)介護事業費用
①うち給与費
ア)うち給与
イ)うち役員報酬
ウ)うち退職給与引当金繰入
エ)うち法定福利費
②うち業務委託費
ア)うち給食委託費
③うち減価償却費
④うち水道光熱費
⑤うちその他費用
ア)うち材料費
ⅰ)うち給食材料費
イ)うち研修費
ウ)うち本部費
エ)うち車両費
オ)うち控除対象外消費税等負担額
(3)事業外収益
①うち受取利息配当金
②うち運営費補助金収益
③うち施設整備補助金収益
④うち寄付金
(4)事業外費用
①うち借入金利息
(5)特別収益
(6)特別費用
(7)法人税、住民税及び事業税負担額
3.事業所・施設の職員の職種別人員数その他の人員に関する事項 (=任意の項目)
(1)次の職種ごとのその人数(常勤・非常勤別)
① 管理者
② 医師
③ 歯科医師
④ 薬剤師
⑤ 看護師
⑥ 准看護師
⑦ 介護職員(介護福祉士)
⑧ 理学療法士
⑨ 作業療法士
⑩ 言語聴覚士
⑪ 柔道整復師・あん摩マッサージ師
⑫ 生活相談員・支援相談員
⑬ 福祉用具専門相談員
⑭ 栄養士・管理栄養士
⑮ 調理員
⑯ 事務職員
⑰ その他の職員
⑱ 上記のうち介護支援専門員・計画作成担当者
⑲ 上記のうち訪問介護のサービス提供責任者
(2)(1)に掲げる職種ごとの給与及び賞与
4.その他必要な事項 (=任意の項目)
(1)複数の介護サービス事業の有無
(2)介護サービス事業以外の事業(医療・障害福祉サービス)の有無
(3)医療における事業収益
(4)医療における延べ在院者数
(5)医療における外来患者数
(6)障害福祉サービスにおける事業収益
(7)障害福祉サービスにおける延べ利用者数(4)介護サービス事業者が報告する方法
報告は、厚生労働省において運営するシステム(介護サービス事業者経営情報データベースシステム)により行うものとします。本システムの運用開始は令和7年1月以降の予定です。
なお、報告は本システムでのみ受付可能です。紙媒体での報告は受付ができないことに注意が必要です。
(4)介護サービス事業者が報告する方法
報告は、厚生労働省において運営するシステム(介護サービス事業者経営情報データベースシステム)により行うものとします。本システムの運用開始は令和7年1月以降の予定です。
なお、報告は本システムでのみ受付可能です。紙媒体での報告は受付ができないことに注意が必要です。
報告にあたってはGビズID(gBizIDプライム)のアカウント取得が必要となります。
GビズIDをお持ちでない事業所様は、原則2週間以内でアカウントが取得できますので、早めのアカウントの取得をしておきましょう。
(報告期間である令和7年1月から3月までに、アカウントを取得しておく必要があります。)
(5)報告期限
報告期限は、報告を行う介護サービス事業者の毎会計年度終了後3月以内です。
ただし、令和6年度内に実施されるべき報告(令和6年3月31日から同年12月31日までに会計年度が終了する報告)に限り、報告期限を令和7年3月31日までとしています。
<例> 会計年度 令和5年4月~令和6年3月 ⇒ 報告期限 令和7年3月31日
令和6年1月~令和6年12月 ⇒ 報告期限 令和7年3月31日
令和6年2月~令和7年1月 ⇒ 報告期限 令和7年4月30日
※ 以降、原則どおり毎会計年度終了後3月以内
なお、法令等により定められている会計監査に時間を要することにより、3か月以内の報告ができない場合については、監査終了後早急に提出いただくことで差し支えないそうです。
当事務所の見解
この新たな介護サービス事業者の経営情報報告制度は、単なる行政手続きではなく、介護業界全体の質的向上と持続可能な経営環境の整備を目指す重要な取り組みです。
当事務所では、本制度を以下の観点から、前向きに捉えるべき機会と考えています:
- 経営の「見える化」による経営改善の契機 経営情報の詳細な報告は、自法人の強みと課題を客観的に分析する絶好の機会となります。単に報告するだけでなく、データを経営改善の羅針盤として活用することが重要です。
- 業界全体の底上げと支援策の充実 厚生労働省が事業者の経営実態を正確に把握することで、より実効性の高い支援策や制度設計が可能となります。今回の制度は、介護サービスの質と持続可能性を高める重要な一歩と言えるでしょう。
- 事前準備の重要性 システム対応やGビズ IDの取得など、準備には一定の時間と労力が必要です。早期の対応が、スムーズな報告と不必要な事務負担の軽減につながります。
- コンプライアンスと事業継続 本制度への適切な対応は、法令遵守のみならず、貴法人の信頼性と継続性を示す重要な指標となります。単なる義務としてではなく、経営の質を高める機会として前向きに捉えることが大切です。
介護業界を取り巻く環境は急速に変化しています。この変化に柔軟に対応し、質の高いサービスを提供し続けるためには、経営の「見える化」と継続的な改善が不可欠です。
制度の詳細や対応にご不明な点がございましたら、お気軽にご相談ください。利用者様により良いサービスを提供するという共通の目標に向けて、皆様と共に歩んでまいります。