第74回労働政策審議会雇用環境・均等分科会|女性活躍推進とハラスメント対策の今後
2024年10月21日、第74回労働政策審議会雇用環境・均等分科会が開催され、「女性活躍推進」および「職場におけるハラスメント対策」に関する重要な検討課題が議論されました。本記事では、今回の分科会で示された課題とその影響について、医療・介護施設や中小企業の経営者や人事担当者向けに解説します。
女性活躍推進法の延長と中小企業への影響
女性活躍推進法の背景と延長の必要性
「女性活躍推進法」は2015年に施行され、企業における女性の地位向上を目指してきましたが、2027年度末でその期限を迎えます。今回の分科会では、この法律の延長が議論され、実効性のさらなる向上が必要との声が多く上がりました。単なる延長だけでなく、企業が実際に成果を出すための支援策の充実が求められています。
中小企業に対する影響と支援策の充実
特に、従業員100人以下の中小企業における女性活躍推進の取組が議題に挙がりました。現在、行動計画の策定は努力義務にとどまっていますが、今後は全企業に対して実質的な行動計画策定の支援が求められる可能性があります。中小企業の皆様にとっては、事業規模に応じた具体的な支援策がどのように展開されるのか、今後の動向を注視する必要があるでしょう。
賃金格差と女性管理職比率の透明性向上
男女間賃金差異の公表義務の拡大
男女間の賃金格差の是正は、社会全体の課題であり、今回の分科会でもその公表義務の拡大が議論されました。現行では従業員301人以上の企業に限られていた賃金差異の公表義務が、さらに対象企業規模が拡大される見通しです。これにより、企業は男女間の賃金格差の要因を明らかにし、その改善に向けた取り組みを強化する必要があります。
女性管理職比率の公表義務化
また、女性管理職比率についても情報の公表が義務化される可能性が高まっています。特に、男女別の労働者数や管理職数を明確にし、企業内での男女格差の現状を把握しやすくするための指標が設けられる見通しです。企業は、単なる公表だけでなく、実際の改善に向けた具体的な施策を検討することが重要です。
職場におけるハラスメント対策の強化
ハラスメント対策の法的明確化
職場におけるハラスメント問題は、職場環境の改善に欠かせないテーマです。今回の分科会では、特に職場内でのハラスメントが許されないことを法律で明確にすることが提案されました。これにより、事業主は従業員の人権を守り、ハラスメント防止対策を強化する責任を持つことが求められます。
カスタマーハラスメント対策の強化
ハラスメント対策の中でも特に注目されたのがカスタマーハラスメントです。顧客や取引先からの迷惑行為が従業員に与える悪影響を軽減するため、事業主には顧客対応の責任が課される見通しです。特に、介護施設や医療機関では、患者やその家族からのハラスメントが問題視されることが多く、事業主には対応策の整備が求められます。
女性の健康支援とえるぼし認定制度の見直し
女性の健康支援の重要性
女性の健康問題に対する支援も、企業が考慮すべき重要な課題です。特に、女性特有の健康問題に対して、企業がどのような支援策を提供できるかが問われています。今後、事業主行動計画の中にこうした健康支援の要素を盛り込むことが求められるでしょう。
えるぼし認定制度の見直し
えるぼし認定制度は、女性活躍に積極的に取り組む企業を評価する制度ですが、これまで評価基準が限られていたため、見直しが検討されています。健康支援や職場環境の改善に積極的な企業が正しく評価されることで、企業にとってのインセンティブが強化されるでしょう。
社労士事務所としての見解
当事務所では、このような法改正やガイドラインの変更に対応するため、特に中小企業や介護・福祉事業所が適切な対策を講じられるよう支援を提供しています。男女間賃金差の公表や女性管理職比率の向上に向けた取り組みは、企業の信頼性を高め、従業員の働きやすさを改善するための重要なステップです。当事務所は、実効性ある施策を導入するためのサポートを提供しています。
さらに、ハラスメント防止対策については、当事務所の所長が「ハラスメント防止コンサルタント」の有資格者でもありますので、豊富な知識と実務経験を活かして、クライアントの皆様に最適なアドバイスを行うことが可能です。特に、カスタマーハラスメント対策は多くの企業にとって難しい課題ですが、当事務所が提供するサポートにより、従業員を守るための有効な対策を構築できることと信じています。
法改正に対応するだけでなく、企業文化の変革を通じて長期的な価値を提供することが大切です。当事務所は、最新の法改正を踏まえたアドバイスを提供し、顧問先企業が法的に適正な対応を取るだけでなく、持続可能な成長を目指していけるよう全力でサポートいたします。これからも、最新の法改正に迅速に対応し、企業の成長を支援してまいりますので、ぜひ当事務所をご活用ください。
【参考リンク】第74回労働政策審議会雇用環境・均等分科会
【参考資料】資料2-1 女性活躍推進及び職場におけるハラスメント対策についての検討課題と主な御意見
【参考資料】資料2-2 これまでの労働政策審議会雇用環境・均等分科会での主な御意見
【参考資料】資料2-3 女性活躍推進及び職場におけるハラスメント対策についての現状等(追加資料)