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厚生労働省関係の主な制度変更(令和6年10月)について

9月26日、厚生労働省は「厚生労働省関係の主な制度変更(令和6年10月)」を公表しました。この制度変更は、特に医療・介護施設や福祉事業所の運営に関わる多くの経営者や人事担当者にとって、無視できない影響をもたらします。今回は、短時間労働者への保険適用拡大、最低賃金の引き上げ、教育訓練給付金の拡充など、重要なポイントを整理しつつ、事業主としてどのように対応すべきかを解説します。

被用者保険の適用拡大

まず注目すべきは、被用者保険の適用拡大です。現在は従業員数100人超の事業所に適用されている短時間労働者への健康保険・厚生年金保険の適用が、令和6年10月からは50人超の事業所にまで拡大されます。これにより、従業員数が50~100人規模の医療・介護施設や福祉事業所が、新たに短時間労働者を社会保険に加入させる義務を負います。

影響

この改正により、中小規模の事業主にとっては保険料負担の増加が懸念されます。しかし、短時間労働者が社会保険に加入することで、離職率の低下や従業員の満足度向上が期待できます。社会保険に加入することで、従業員が安心して働く環境を整えられる点は大きなメリットです。

対応策

事業主は、まず短時間労働者の就労状況を正確に把握し、新しい適用基準に基づいて該当者を特定することが重要となります。
該当者には加入手続きを早めに行い、従業員への説明も丁寧に行う必要があります。

制度変更に伴うコスト面の影響はあるものの、従業員が安心して長く働ける環境を提供することが、長期的には事業の安定化に寄与するものではないでしょうか。

最低賃金の改定

次に、最低賃金の改定についてです。すべての都道府県で最低賃金が引き上げられ、全国加重平均で1,055円となります。特に地方の事業所では、賃金コストが大幅に上昇する地域もあり、賃金体系の見直しが求められることになります。

影響

最低賃金の引き上げは、特に低賃金で働いている労働者が多い介護・福祉事業所にとって大きな負担となります。しかし、賃金引き上げは従業員の生活の安定を支えるだけでなく、職場の魅力を高め、優秀な人材の確保に繋がる可能性もあります。
賃金が適正に評価されることで、職場のモチベーションが向上し、サービスの質の向上も期待できます。

対応策

事業主は、まず従業員が最低賃金を下回らないかを確認し、必要に応じて賃金の見直しを行う必要があります。加えて、賃金体系全体のバランスを見直すことも重要です。賃金引き上げによるコスト増加に対応するためには、業務の効率化やコスト削減策を検討することが不可欠です。

教育訓練給付の拡充

教育訓練給付の拡充も今回の制度変更で注目すべき点です。

専門実践教育訓練給付金については、教育訓練の受講後に賃金が上昇した場合、現行の追加給付に加えて、さらに受講費用の10%(合計80%)を追加で支給されることとなります。すなわち給付率が70%から80%に引き上げられたということです。
また、特定一般教育訓練給付金についても給付率が引き上げられ、資格取得・就職等した場合、受講費用の10%(合計50%)を追加で支給されます。

専門職のスキルアップや資格取得を目指す従業員には、この制度を活用することが有効ではないでしょうか。
【参考リンク】厚生労働省 教育訓練給付制度
【参考リンク】令和6年10月から教育訓練給付金を拡充します

影響

人材育成は、介護・福祉事業所にとって非常に重要な課題です。この給付金制度を活用することで、従業員がより高いスキルを身につける機会が広がり、職場全体のレベルアップが期待できます。
資格取得を通じて現場の効率化やサービス向上が実現し、施設の競争力を強化することにも繋がります。

対応策

事業主は、従業員がこの制度を利用できるよう、積極的に情報提供を行い、スキルアップのための計画を立てることが必要です。また、資格取得後のキャリアパスを明確にし、従業員のモチベーションを高めることが重要です。

 

まとめ

今回の厚生労働省の制度変更は、医療・介護施設や福祉事業所にとって、多くの機会と課題を同時にもたらします。短時間労働者への保険適用拡大や最低賃金の引き上げ、教育訓練給付の拡充など、各制度の変更に対応するためには、事業主として計画的な準備が不可欠です。しかし、これらの制度を効果的に活用することで、従業員のモチベーション向上や事業の競争力強化に繋がる可能性があります。

当社労士事務所では、これらの制度変更に伴う具体的なアドバイスとサポートを提供しています。事業主の皆様が安心して運営できるよう、最新の法改正に基づいた適切な手続きとサポートをお約束します。制度変更に関するご相談がありましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。

 

【参考リンク】厚生労働省関係の主な制度変更(令和6年10月)について

 

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