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過労死等の防止のための対策に関する大綱の変更について(2)

はじめに

2024年8月2日、厚生労働省は「過労死等の防止のための対策に関する大綱」の変更を閣議決定しましたが、この変更は過労死ゼロを目指し、健康で充実した働き方を実現するための重要なステップです。前回の記事では、この大綱変更の背景とその重要性について解説しました。今回は、新たな大綱の具体的な内容と、実際に企業が取り組むべき具体的な対策について詳しく説明します。

労働時間の適正管理

労働時間の適正管理は、過労死防止のための最も基本的な対策の一つです。過労死の主な原因は長時間労働であり、その是正が急務とされています。新たな大綱では、以下のような具体的な取り組みが求められています。

  1. 勤務間インターバル制度の導入: 労働者が終業から次の始業までに一定の休息時間を確保することを義務付ける制度です。2023年の調査では、勤務間インターバル制度を導入している企業は6.0%にとどまっており、さらなる普及が必要です。
  2. 労働時間の適正な把握: 労働時間の把握は、労働者の健康を守るための基本です。適正な労働時間管理を行うためには、タイムカードや勤怠管理システムの活用が有効です。また、在宅勤務やフレックスタイム制度の導入により、柔軟な働き方を推進することも重要です。

メンタルヘルス対策の充実

メンタルヘルス対策は、職場環境の改善と従業員の健康維持に欠かせない要素です。新たな大綱では、以下の点が強調されています。

  1. ストレスチェックの実施: 労働者数50人以上の事業場では、ストレスチェックの実施が義務付けられていますが、努力義務となっている50人未満の事業場でも積極的に実施することが推奨されています。2024年の調査によると、50人未満の事業場での実施率は32.3%にとどまっています。
  2. メンタルヘルス相談窓口の整備: 従業員が気軽に相談できる窓口を設置し、専門のカウンセラーや産業医との連携を強化することが重要です。小規模事業場では、外部の専門機関と提携することで対応することも効果的です。

ハラスメント防止対策の徹底

職場でのハラスメントは、従業員の精神的健康を大きく損なう原因となります。新たな大綱では、ハラスメント防止対策の徹底が求められています。

  1. ハラスメント防止策の啓発活動: 企業内でのハラスメント防止に向けた啓発活動を積極的に行い、全従業員に対してハラスメントに対する理解を深めるための研修を実施することが重要です。特に管理職には、具体的な対応方法や予防策についての教育が必要です。
  2. 相談窓口の整備: ハラスメントの被害者が安心して相談できる環境を整備することが求められます。内部の相談窓口のほか、外部の専門機関とも連携し、多角的なサポート体制を構築することが効果的です。

まとめ

今回の「過労死等の防止のための対策に関する大綱」の変更に基づき、労働時間の適正管理、メンタルヘルス対策の充実、ハラスメント防止対策の徹底が重要な柱として掲げられています。これらの対策を実践することで、従業員の健康と安全を守り、企業全体の生産性や社会的信頼を向上させることができます。

当事務所では、これらの対策を企業に実践していただくための具体的な支援を提供しています。労働時間の適正管理やメンタルヘルス対策の強化、ハラスメント防止の徹底に向けた取り組みについて、最新の情報と専門的なアドバイスを通じて、クライアント企業の皆様とともに健全な労働環境の実現を目指してまいります。詳しくは本ホームページ「ハラスメント防止対策」のページもご一読いただければ幸いです。

 

【参考リンク】厚生労働省 「過労死等の防止のための対策に関する大綱」の変更が本日、閣議決定されました
【参考資料】「過労死等の防止のための対策に関する大綱」

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